urashimono

otoshimonoの裏日記。すなわちemixがつらつらと適当に書きます。

田舎の●●

大学進学を機に埼玉へ移住して四半世紀あまり。人生の半分以上は埼玉で暮らしているのだから立派な「埼玉県民」ではあるのだけど、やはり生まれ育った幼少期の居住地が自分のふるさとであり、事あるごとに「静岡出身です」と自分の属性を語っている。

生まれてからずっと埼玉で生活している友人も多いけど、彼らは口をそろえて「埼玉には何もない」と言う。「静岡には何もない」とは言ったこともない私にとって、埼玉県人による「何もない」発言はとても残念だなあといつも思う。
客観的に見れば埼玉には自然も特産品も文化もたくさんあるのにそれを「何もない」と言ってのける埼玉県人は、逆にたくさんありすぎて感覚が麻痺してしまい、見つけられないのではないかとも思う。ま、「何もないと思いこんでいる」のが埼玉出身者の特徴なのかもしれない。

そんな埼玉県人からよく聞くセリフ第二位は「田舎があっていいねえ」「自分には田舎がない」ほぉぉ。田舎を何だと思っているのか。ステレオタイプ化された観光地や動植物に囲まれたのどかな野山の風景・・・埼玉県人はきっと理想が高いのかもしれない。

私の実家は静岡市の里あいにある。だいたい母校の中学は山の名前が付いているくらいだから埼玉県人にとっては理想郷かもしれない。実家の小学区は小学生人口ピークだった1980年代でも全校児童100人前後の小さな学校なので、現在は1学年10人程度、姪の在籍する学年に至っては2人しかいないという、これはこれで話のネタになるので友人知人に話しまくっている。

そんな小さな小学校でも明治時代初期から存在する歴史ある学校なので、きっと地元の有力者が幅利かせているから廃校にならないのだろうと勝手に思っているのだけど、総合的な学習の一環として「地域の特産品を作ってアピールしよう」と、小学生たちが地元農家の協力のもとでトマトジャムを作ったらしい。
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このトマトジャム、実は甥の在籍していた昨年度の小学6年生が発案し新聞でも紹介されたもので、今年度はさらにパワーアップして再登場ということでチラシも作成して地元の農業祭で販売したらしいのだけど、イノシシやのどかな野山の写真いっぱいの学区を紹介するチラシに、あぁそうか、私の育ったふるさとは埼玉人が憧れているまさにそのユートピアだと、何だか微妙な気持ち。