urashimono

otoshimonoの裏日記。すなわちemixがつらつらと適当に書きます。

印税生活(憧)

 子どものころ「将来なりたいもの」を聞かれても、いつもひとつに絞れなかった。

幼稚園児の頃は「ピアノの先生」か「バレエの先生」。小学生の頃は「英語の通訳」か「薬剤師」か「アナウンサー」。そんな調子だから、自分はいったい何になりたいのか、どういう人間でありたいのかはっきりしないまま大学卒業したおかげで病気になったのだと思う。

そんな自分を、かなり長い間許せずにいた。今でも完全に許したとは言いがたいけれど。

ことあるごとに自分の性別を訊かれるので生きづらさを感じている人がいるのと同じように、私はことあるごとに自分の身分を訊かれると言葉が詰まる。

「あなたは普段、何をされているのですか?」
「お仕事は?」

はっきりと答えられない自分がいる。
病気になって臨任教諭を辞めてからしばらくは療養というていで自宅にこもりきりで、そこからリハビリと称してコンビニのパートタイマーで数年働き、今は個人事業主の専従者という身分が一応あるので「え、えぇまぁ一応ダンナの仕事の手伝いやってます」的な、曖昧な受け答えで切り抜けているものの、じゃぁダンナの仕事の手伝いで具体的に何をやっているかと言えば、請求書作ったり税理士さんにレシート送ったりたまに写真の切り抜きやったり楽譜図版作成したりご飯用意したり洗濯したり掃除したり犬の世話したり買い物行ったり……って、ほとんど家事ですやん。

自分にできることと言ったら金管バンドの指導。それも今は1校だけ。小学校教諭をうつ病で辞めているから、学校へ足を運ぶのもいまだに前向きになれない。だから営業かけて何校も指導するガムシャラさも持てない。今までいろんな学校に編曲したり時には作曲したりしたけれど、先生方は感謝の気持ちをお菓子で表してくれるので、私はお菓子がもらえるだけの働きはできていると思っている。

そんな「報酬はお菓子」で生きている私が、作曲譜を出版した。

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出版したからといって「作曲家」になったわけでもない。これまでに12曲ほど編曲譜を出してはいても、大声で「編曲家です」と言えるものでもない。

請求書作ったり、税理士さんにレシート送ったり、ご飯用意したり、洗濯したり、掃除したり、犬の世話したり、買い物行ったり、たまに写真の切り抜きやったり、楽譜図版作成したり、金管バンドの指導したり、作曲や編曲もする個人事業主の専従者が、私なんです。ひとことでは絞れないのが、私なんです。ダメですか?

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