urashimono

otoshimonoの裏日記。すなわちemixがつらつらと適当に書きます。

懐かしい風

もう10年以上前になるかな、インターネット黎明期。アマチュア楽団のホームページ製作が流行っていて、掲示板に「突然の書き込み失礼します」といった書き出しの書き込みが後を絶たなかった。要は自分の楽団の演奏会のお知らせを他楽団のHPに書き込む「広告」なのだけど、誰でも自由に書き込める掲示板にはいつしか誰も読まない「演奏会のお知らせ」ばかりが増えることになり、当時のウェブ係は誰も読まない掲示板に「突然の書き込み」をする仕事に明け暮れ、さすがにその無駄な労働に気がついたのか「突然の書き込み」だらけの自分のHP掲示板を撤去するようになり、終息をむかえた。
そもそも「突然の書き込み(メール)失礼します」って書き出しは何なんだろね。逆に突然じゃないメールってどうやってだすのだ? まぁリアルに顔を合わせていない(名刺交換などもしていない)相手に対していきなり手紙を出すのは失礼ではないか、といった感情が働くのかな。どちらにしても「突然失礼します」なんて断りを入れるのはなんの意味もないことだと思う。
で、メールは突然やってくる。
年賀状くらいしかやり取りをしていなかった中学の同級生からメールが届いた。中学の同級生であるから、もうかれこれ30年近く年賀状のやり取りをしていることになるのだけど、私の出す年賀状にはメールアドレスも含めた連絡先が入っているので、おそらく彼女はそのアドレスにより私にメールを出すことができたのだろう。内容は「元気?」「また会いたいね」といった他愛もないもので、急を要するような緊迫した内容というわけではなかったので、私も自分の近況と、自分が知っている範囲の中学時代の友達の近況などを交えて返信した。
ココ数年はSNS普及のおかげで一旦疎遠になってしまった旧友とも比較的簡単に繋がることができるようになったけど、年齢的にも「昔を懐かしむ」世代になってしまったのかと思うことがある。でも、私は「昔を懐かしむ」ために旧友に会いたいとは思わない。それは自分自身がずっと過去にとらわれて前に進めなかったから。病気が酷かった頃はずっと「あの頃はよかったのに…」を繰り返していた。自分がそんなとき、きっと皆はがむしゃらに前に進んでいた。がむしゃらに進んでいたからこそ、落ち着いてきた今「昔を懐かしむ」ことをしているのかもしれない、とも思う。
学生時代の友人と、当時の共通の友人の話題がでると「懐かしい」という言葉がでてくるけど、私は人に対して「懐かしい」という言葉を使うのは嫌いだ。だって、その人だって今どこかで精一杯生きているはずで、過去の人でもなんでもないから。旧友のことを思い出したり会いたいと思うことを否定しているわけじゃないし、こんな私を憶えていてくれて、連絡してくれる人がいることにはとても感謝している。たまたま「昔を懐かしんで」メールをくれたのかもしれないけど、会う時は今を生きている姿で会いたいと思っている。