emix宛に一通の封書が届く。
奨学金返済の最終回のお知らせだった。
そうか、
あれからやっと15年が経った。
長かった。
本当に長かった。
大学進学にあたって無利子で借りられる育英会の奨学金審査に通り、大学でも学費を全額免除してもらって卒業し、教職に15年間勤めれば返済も免除されるはずだった奨学金。だけどそれは叶わなかった。
職に就けば返済が免除されて、職を失って返済を迫られるこの制度には矛盾を感じながらも、なんとか今年で完済する。
自分がストレスに負けた悔しさは今後も一生消えることはないけれど、なんとなく気持ちが少し軽くなった気がした。